「人が行き交い、季節や時間を五感で感じられる家」 坂本紫穂(和菓子作家)

IMAGE BY TAKESHI KAWANO

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大正初期に建てられた築約100年の日本家屋で暮らしていました。時代に合わせて何度か改修を加えてきたと聞いています。部屋のほとんどが和室で、私が生まれた時には階段が2つありました。

中でも最も好きだったのは、応接間でしょうか。応接間はやや広めの洋間(絨毯)で、祖父と父の趣味が随所にちりばめられていました。布張りのソファー、シャンデリア調の照明、刺繍の入ったカーテン、深い青色の布壁紙、マントルピース、角が生えた鹿の顔、絵画、観葉植物、ピアノ、コントラバス、大きなステレオ、テレビ、レコードプレーヤー。そして、日によって色が変わるグラスなど、様々な置物が飾り棚やマントルピースに飾られていました。全体的に重厚感があってレトロな雰囲気でした。

親戚やお客様が来た時は私も必ずご挨拶をし、母や祖母を手伝ってお茶やお茶菓子を応接間に運びました。人が集まったり、自分のピアノの練習をしたり、兄妹で来客にピアノを聴いてもらったり。応接間で笑顔が生まれ、時には大事なことが決まったりもしていたので、感覚的にも、そこが大事な場所だと感じていました。家族だけではなく親戚や、家族それぞれの友人たち、そして近所の人もリラックスして楽しめる空間が家にあるのはいいなぁと子供ながらに思っていました。来客が多かったせいか、子供の頃から人をもてなして喜んでもらうことが好きでした。今でもそれは変わりません。

将来の暮らしは、やはり自分が育った家のように、たくさんの陽が入る風通しの良い空間がいい。季節や時間を五感で感じられる家が理想です。

その家には、光と景色が取り込める大きな窓にゆったりとした木製の家具。優しい光の照明と座り心地の良い椅子。そしてやはり開放感のあるキッチンでしょうか。そこにお気に入りの絵画や置物、音楽があるといいですね。

そんなわたしにとっての未来の空間とは、「想いと調和」がテーマかな、と思います。

坂本紫穂

和菓子作家。オーダーメードの和菓子を作品として制作・監修。日本国内および海外で和菓子教室やワークショップを行う。現代における「茶の湯」のあり方を探求し続けるアート集団『The TEA-ROOM』の創立メンバ。

2013年
映画「利休にたずねよ」公式タイアップ茶会にて和菓子監修
2014年
COREDO室町オープニング特別展示茶会にて和菓子監修
2014年
漫画『へうげもの』茶会にて和菓子監修
2015年-2017年
パークホテル東京アフタヌーンティースイーツ監修
2015年
World Tea Forum 2015にて日本を代表し和菓子の展示・講演・ワークショップを行う
2016年 
ミラノ・サローネにて和菓子のデモンストレーションおよび展示を行う
2016年
安倍昭恵内閣総理大臣夫人主催茶会(総理公邸)にて和菓子を担当
2016年
淡交社月刊誌『なごみ』10月号にて和菓子特集監修

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