音楽体験から生まれる至高の癒し セラピスト/小松ゆり子

TEXT BY YU MIYAKOSHI EDIT BY ARINA TSUKADA PHOTO BY TAKESHI SHINTO

TEXT BY YU MIYAKOSHI
EDIT BY ARINA TSUKADA
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世界各国の自然療法を織り交ぜ、オリジナルのセラピーを生み出していくセラピスト、小松ゆり子さん。そのセラピーを受けた人たちは「身体がすみずみまで解放され、心と魂にエネルギーが満ちる」といいます。そんな小松さんのセラピーでは、音楽が大事な役割をはたしているのだとか。東京・南青山にひっそりと存在するプライベート・アトリエ「corpo e alma(コルポ エ アルマ)」には、Sony Life Space UXのLED電球スピーカーがひっそりと顔をのぞかせていました。


音はセラピーの大事な要素


小松さんのセラピーは「今日はどんな音楽をかけようかな」と考えるところからはじまります。お客さんが来る前に曲を選び、音楽をかけながらその日の準備を進めます。

「私のセラピーでは音楽が重要な要素になります。施術中、私自身が音にリードされてストローク(※1)や流れを生み出していくんです。2時間のセッションなら、2時間の音楽を奏でている感じ。施術の前後には音叉やベルなどの楽器類を使って、生音によるアプローチも行っていきます」


「終了の合図はチベタンベルを鳴らすこと。寝ているお客さんの足元からおなか、頭へ向かってベルを鳴らしていって、音で包み込むように終わりを告げています。すると、お客さんの意識がゆったりと現実に戻ってくる。音は、セラピーの大事な要素のひとつですね。施術中は私が歩く足音や水の落ちる音なども、すべてセラピーの一要素だと思っています」


癒しの空間になじむ、光と音のスピーカー


小松さんのセラピールームには、ベッドの両脇にそっとLED電球スピーカーが置かれていました。お客さんに「このライトから音楽が流れているんですよ」と伝えると、びっくりされることが多いのだとか。

「天井の高いところにスピーカーを設置すると、お客さんには音が上から降ってきて、包み込まれる感じを覚えるそうです。まずお客さんに音と光でリラックスしてもらった後、セラピー中は明かりを最小限に抑えて、関接照明として使えるのもいいですね」と、小松さん。

これまで、ずっしりとした「機械」のイメージがあったスピーカーは、セラピールームには不似合いだと感じていた小松さん。けれど、周囲の環境と調和するLED電球スピーカーは、癒しの空間ともぴったりです。

「マッサージをするときはいつも、オーケストラが音を重ねるように、手の圧の深さを変えながらで音楽を奏でていくようなイメージをしています。自分の体を楽器のようにして演奏している気持ちですね。それには、音楽の力が不可欠ですが、このスピーカーのように“自然と”音が運ばれてくる環境は理想的です」

音は目に見えない分、気が付かないうちに私たちの体や心に影響を与えていたりします。機械の存在を主張しないこんなにシンプルな空間なら、お客さんは触感と音の世界に深く入り込んでいけそうです。

 

世界を旅してセラピーを学んだ修業時代
 

昔から音楽が好きだった小松さんは、大学卒業後、レコード会社に勤め、ミュージックプロモーターとして忙しい毎日を送っていました。多忙な毎日にストレスをケアする必要性を感じ、アロマセラピーへの興味が高じて、セラピストへ転向。その後はさまざまなサロンに勤めつつ、世界を旅しながらセラピーを学んでいったそうです

「東京でひと通りセラピーを学んだ後、旅に出てはその土地土地でセラピーを学んでいた時期があったんです。特に、エサレン・ボディワークの哲学には大きな影響を受けました。エサレンは1960年代にカリフォルニアで起こったヒッピームーブメントや人間性回復運動を背景にはじまったトリートメントです。その時の先生が『セラピーはアートだ』と仰っていて、セラピーは単なるマッサージではなく、クリエーションな行為だという概念を教えられました。

それを聞いた時に、レコード会社を辞めて音楽の仕事から離れたと思っていたけど、じつはそんなに離れていなかったな、と。ボディワークはセラピストとクライアントの間で行われるライブセッションのようなもので、アートでありエンターテイメントであるという思いを新たにしました」


音楽の力を借りて、深い癒しの世界へ

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音楽が大きな役割をはたす、小松さんのセラピー。そこには「音の振動が確実に体に影響を与える」という音楽への絶大な信頼がありました。

「フェスやライブでわーっと盛り上がった時に、ある種のカタルシスを得ることがあると思うんです。そうした体験も癒しのひとつ。

2016年7月にモロッコの小さな村へ行ってきたのですが、そこでも音楽による癒しを体験しました。その村では年に1度、伝統音楽を守り続けているマスター・ミュージシャンズ・オブ・ジャジューカと呼ばれる音楽家たちが全世界50名限定の音楽フェスティバルを開いて、ジャジューカ(※2)の音楽を演奏するんです。

それは太鼓と笛の音が延々と反復される演奏なのですが、とにかく音の振動を浴びている感じなんです。その振動を体で受けとめているうちに、頭のなかから余計なものが取り払われていく。ただシンプルに、自分の本質に戻るということを感じました。音の振動が体に染み込んで影響与えるということは、いつも忘れないようにしていますね」
 

※1 ストローク:マッサージをする際の手の動き
※2 ジャジューカ:モロッコ北部にある村、ジャジューカの儀礼音楽。元ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズの録音によるアルバム「Brian Jones presents the pipes of pan at Jajouka」がリリースされたことにより、世界的に有名になった。
 

プロフィール 小松ゆり子

Touch for World 代表:パーソナル・セラピスト。「心と身体、世界をつなぐ」をテーマとし、南青山のプライベート・アトリエ「corpo e alma(コルポ エ アルマ)」を中心にセミナー活動や、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオイルトリートメント「ヴァイタル・タッチセラピー」を行う。遊牧民のように移動しながらセラピーを行う「Nomadic Bodywork」を提唱し、国内最大級の都市型ロックフェスティバル「SUMMER SONIC」や「GREEN ROOM FESTIVAL」「BLUE NOTE JAZZ FESTIVAL」など音楽イベントでのセラピー提供や、他業種とのコラボレーションも多数。ライフハッカー[日本版]では「今を生き抜くためのセルフケア術」を連載中。音楽、カルチャー、リラクゼーションを融合する「relacle」「CHILL SPACE」スーパーバイジング・ディレクターも務める。多忙な音楽業界からセラピストへ転身した経歴を生かし、現代人が都会でバランスを保ちながら生き抜く知恵やプリミティブな五感を取り戻すホリスティック・ケアを様々な角度からナビゲートしている。

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