「食卓ではたくさんのことが起きている」新田理恵(食卓研究家)

TEXT BY YU MIYAKOSHI EDIT BY ARINA TSUKADA

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植物の力や伝統的な暮らしの知恵を研究し、「これからの食卓」を提案している食卓研究家の新田理恵さん。自身で始動した薬草茶のブランド「{tabel}(タベル)」の企画·販売からフードコーディネート、お茶会の開催など、幅広い活動を展開しています。神奈川県の古民家で暮らす新田さんのもとに届いたSony Life Space UXのLED電球スピーカー。ここでは、どんな音と光が流れているのでしょうか?

新田さんは旦那様であり、デザインファーム NOSIGNER代表の太刀川瑛弼さんと2人暮らし。横浜の郊外にある駅前の商店街を抜け、生垣と林の間の路地を通り古風な木の門をくぐると、趣のある木造家屋がひっそりと建っていました。

料理を美味しく感じられる音って?

新田さんの暮らす家は、なんと築90年。そこには、伝統的な道具とモダンでシンプルなプロダクトたちが自然に調和していました。

意外にも、この家にはインターネットが引かれていません。パソコン仕事は、近くにあるオフィスですればいい、という信条とのこと。客間を見回しても、扇風機以外に目立った家電はなく、エアコンは木目のカッティングシートでカバー。

最低限のテクノロジーを配した、自然のそばにある暮らしが心地よい。ペンダントライトに収まっていたLED電球スピーカーも、この家の生活にフィットしていました。新田さんは、光量を細かく調整できる機能が気に入っているといいます。

「自然光もちょっと曇ったり、明るくなったりと、優しく変化しますよね。そんな風にグラデーションをつけられるのが嬉しい。食卓で起こることって、食べるだけではなくて、読むとか書くとか、たくさんある。朝、昼、夜と時間帯によっても変わってきますし、それぞれにふさわしい光量って全然違うと思うんです」

ペンダントライトには、LED電球スピーカーが

ペンダントライトには、LED電球スピーカーが

LED電球スピーカーで音楽を再生させると、頭上から心地よい音が流れてきました。「お掃除や料理をしている時にも音楽があった方がいいと思うし、台所で使うのもいいですね。電気系統が苦手な私でもすぐに使えましたし」と新田さん。今はご飯を食べる時に、ちょっと特別な音をかけてみたいと考えているといいます。

「山へキノコを採りに行った時、近くで聞いた清流の音がとても綺麗だったんです。例えば食卓でそのキノコを食べる際に清流の音が聞こえてきたら、もっと料理も美味しく感じられるかもしれない。畑の風の音や、虫の声なんかも良さそうです。この家も、朝夕は虫の声がよく聞こえてくるんですよ」

たしかにこの家にいると、自然の音に耳を澄ませたくなる。スピーカーから流れる音と環境音のミックスを楽しむのもいいかもしれません。

どんな場で、どんな風に食べるか

大阪に生まれ育ち、大学では栄養学を学んだという新田さん。大学を卒業してすぐにフードコーディネーターの会社で働きはじめ、料理からコーディネート、撮影までを学んだそう。そしてフードフォトグラファーとして活躍した後、2008年に食卓研究家として独立。フードコーディネーターなどの仕事をしながら、薬膳の勉強を始めます。それはカロリーや栄養価などといった「数字」からの解放でもありました。

「栄養士は数字の統計データから食事メニューをつくっていくのですが、そうすると同じ年齢·身長·体重の人は、全員同じ料理を食べればいいということになってしまう。私はそれに違和感があって、一人一人の体質やその日のコンディションに合わせた食事の提案をしていきたいと思ったんです」

薬膳の考え方は、日常の中でも生かせると新田さんは語ります。

「例えば男性と女性では体質が違うし、日によって体調も違う。そうした時、それぞれの体に合うお茶を一杯ずつ煎れるという選択肢もあるし、季節に合うお茶を用意するという選択肢もあると思うんです。そうやって相手のために食材を選ぶことを楽しんだり、お互いの体調の話が日常的にできたりするのはいいことですよね。食べものってその人の哲学の一つだと思うから、相手の食生活を重んじることも大事にしたいなと思っています」

点と点をつなぐ薬草茶のブランド{tabel}

薬膳の勉強をしていくうちに、新田さんの興味は日本の伝統的な暮らしや地域へと広がっていきます。2013年には、気仙沼や会津の高校生たちとともに地域資源を生かした商品開発にも取り組みました。

そうして、地域資源を生かす薬草茶を作りたいと思うようになった新田さんは、2014年に無農薬·無化学肥料栽培·在来種の薬草を使用した国産薬草茶のブランド「{tabel}」を立ち上げます。

この日煎れてくれたのも{tabel}の蓮の葉のお茶。滋味深い香りが喉を潤してくれました。

「このお茶の原料は熊本県八代地方の農家さんから、蓮根を栽培する過程で間引きした葉を頂いています。地方へ行くと、予想外の素材やストーリーに出合えるんです。」

そういって新田さんは、目の前に置かれていた湯のみを手にとりました。

「たとえばこの器は沖縄の『あーどぅる焼』といって、がじゅまるの木の釉薬を使っているんです。あーどぅるというのは赤土の沖縄弁です。こっちの器は、石垣島の珊瑚の釉薬を使ってつくられたものです。そういう話を聞くと、沖縄の風景が見えてくるじゃないですか。こういった器一つでも、料理の背景を喋ってくれるんですよね」

こだわりの道具と一緒に天井から吊り下げられたLED電球スピーカー

こだわりの道具と一緒に天井から吊り下げられたLED電球スピーカー

さまざまな経験を生かし、食卓を豊かにしていく新田さん。フードコーディネートを手がける時には、そうした多角的な視点が生きてきます。今後の活動について伺いました。

「今後はTABELの薬草ブランドを紹介するカフェをつくっていきたいと思っています。薬草茶が特別なものではなく手軽に手に入るようになり、それが食生活のアップデートにつながっていくといいですね。そうした食の環境を整えるところから携わっていきたい。やっぱり食事は、日々のことなので」

新田理恵(にった·りえ)
食卓研究家。2014年、国産薬草茶ブランド{tabel}を設立。西洋栄養学と東洋薬膳学の両面から料理、それを取り巻く環境、空間、文化、関係性などから多角的に食生活の提案をしている。
http://tab-el.com/

http://www.sony.jp/active-speaker/products/LSPX-103E26/index.html

http://www.sony.jp/active-speaker/products/LSPX-103E26/index.html