建築家・佐野文彦とLife Space UX が考える、新しい空間

「これからの日本の暮らしはどうなるか?」

そんな問いに対して、Life Space UX が「新しい日本の居住空間」を提案する展示が、東京・銀座 ソニービルにて始まりました。

2016年10月25日のレセプションイベントでは、今回の空間デザインを担当した、数寄屋大工の経験を持つ建築家の佐野文彦さんと、ソニーでLife Space UX をリードするTS事業準備室室長の斉藤によるスピーチに、現代における「茶の湯」のあり方を探求し続けるアート集団『The TEA-ROOM』の松村宗亮さんによるお茶会なども行われました。

今回このレポートでは、レセプションイベントの様子と展示スペースをご紹介いたします。

「市中の山居」から、空間のあり方を見つめ直す

イベントのオープニングでは、ソニー TS事業準備室室長の斉藤および建築家・佐野文彦さんによるスピーチから。

斉藤「家電にはモノとしての制約があります。たとえばテレビは動かせませんよね。しかし、もし家の中でどこでも映像を楽しむことができたら。そういった機器の制約をなくし、空間のあり方を見つめ直し新しい体験を創出する。それが “Life Space UX ” です。」

佐野さん「今回の空間のテーマとしたのが、『市中の山居』。かつて千利休ら茶人たちは都会の生活のなかに自然に近い空間をつくることで、その対比を楽しんでいたと言われています。そこで今回の展示スペースは都会の生活と自然を融合させ、さらに現代の日常生活に日本の民家らしさ、また日本の和空間を表現した空間となっています。

そのなかでも特に意識したのは、境界線を曖昧にするということ。屋内に庭を作る、庭を越えると天井があり、テーブルがあり、その奥に庇(ひさし)があって、さらにその向こうに茶の間がある。そういった一つひとつの境界線を曖昧にし、『市中の山居』を表現しました。」

「どこまでも、あなたらしい場所にしよう。」というLife Space UX のビジョンをもとに、建築家・佐野さんが手掛けた空間。そこには、いったいどんな世界が広がっているのでしょうか。続いてご紹介していきます。

屋内庭園に茶の間。日本家屋特有の落ち着きを感じるスペース

展示空間に足を踏み入れるとまず圧倒されるのが、数奇屋大工である佐野さんのバックグラウンドを感じる天井。

佐野さん「天井を低くすることで、落ち着きのある空間に仕上げました。また格子を二重にすることで圧迫感を作らずに、『面』を感じられるような工夫をしています。」

佐野さんがスピーチで語った “屋内の庭” がこちら。エントランスを入ってすぐ目の前に広がる屋内庭園。手前の石の上にはまるで灯篭かのように、グラスサウンドスピーカーが空間に溶け込みます。

茶室の掛け軸は、実はポータブル超短焦点プロジェクターによる映像が投影されています。

現代の居住空間に、日本の民家らしさを組み込んだ「新しい日本の居住空間」。

どこか懐かしさと、落ち着きを感じることができる空間となっています。

新しい書の体験も。様々なアーティストが参画する空間

ダイニングテーブルでは、書道家・万美さんの作品をポータブル超短焦点プロジェクターを使用した「なぞり書き」体験もできます。

水で文字が書けて、乾くと文字が消えるので何回でも書けるという「水書」。この日も多く方が、新しい書の体験に興味津々の様子でした。

展示スペース内にはあちこちに、数々の書籍が並んでいます。こちらは選書集団『BACH』に所属するブックディレクター・山口博之さんによって「むかし・いま・これから」をテーマに選書されたもの。

©Seiji Fujishiro / Hori Pro

©Seiji Fujishiro / Hori Pro

また、影絵の巨匠・藤城清治さんの作品や、風景コンテンツを提案するLandSkipによる“動く浮世絵”や日本の風景が4K超短焦点プロジェクターで壁に映し出されています。

卓上のグラスサウンドスピーカーから流れる様々な曲調の音楽に、LED電球スピーカーからは秋の虫の音が流れ、心地よいサウンドスケープで会場は包まれます。これらの音は、サウンド・デザイン集団『Master Mind Productions』によって設計されています。

五感で体験する「和」――The TEA-ROOM ×Life Space UX お茶会

レセプションイベントでは、『The TEA-ROOM』メンバーでありSHUHALLY 庵主の松村宗亮さんによるお茶会も開催。展示スペース内の茶室とテーブルの2箇所で、お茶が振る舞われました。

ユニークな茶碗に、思わず笑みを浮かべる来場者。

お茶会で振る舞われた和菓子は、『The TEA-ROOM』メンバーである和菓子作家の坂本紫穂さんによる作品。今回の展示からインスピレーションを得て、「光陰矢の如し」をテーマに、月日や時間の流れを表現しています。

もちろん、茶室にも「光」をテーマとしたアクリルの花挿しや、ライブペインティングアーティストBAKIBAKIさんによる屏風絵が空間づくりを盛り上げ、視覚、聴覚、そして味覚、嗅覚、触覚と、五感すべてで「和」を体験できるお茶会となりました。

そして茶室の入り口にはイラスト付きのカードが。その名も「茶人カード」。

みなさんもうお気付きですね。実はこのカード、松村さんをモデルにしているのです。ぜひカードと同じポーズを取ってハッシュタグ #Sonyil5 で投稿してみてくださいね。

……と、見どころを色々並べましたが、百聞は一見にしかず。随所で「新しい日本の居住空間」の演出を楽しむことができる今回の展示は、2017年1月下旬まで開催予定。

銀座のど真ん中に広がる気持ちの良い空間を、体験してみてはいかがでしょうか。

 

(TEXT/PHOTO BY YUSUKE NAGATA)


【建築家 佐野文彦とソニー Life Space UX が提案する「新しい日本の居住空間」】

 

展示期間:2016年10月26日〜2017年1月下旬(3カ月間)※予定

営業時間:11:00〜19:00

定休日:なし(※ 1/1、年2回法定点検日を除く)

会場:東京・銀座 ソニービル5F ソニーイノベーションラウンジ(東京都中央区銀座5-3-1)

展示情報ページ:

http://www.sony.co.jp/Products/products-for-life-space/news/report_20161024.html