「新しいのに、懐かしい」を体感できる場所。ソニービルでの和空間展示は3月31日まで

現在ソニービル5F のソニーイノベーションラウンジで開催中の展示「新しい日本の居住空間」はご覧になりましたか?

実はこの展示、当初1月末日までの予定だったのですが、嬉しいことにご好評いただいて、期間を延長してロングランで開催中。本記事では、半年に及ぶ企画となった展示の、裏側に潜む仕掛け人たちの思いをお伝えします。

ストーリーを知ってから見る展示は、味わい深さがまた変わってきます。既に見ていただいた方も、まだの方も、是非現場にお越しください。

そもそも、企画が立ち上がるまで

今回スポットライトを当てるのは、社内起業家(イントラプレナー)として社長直下のプロジェクトチーム、TS事業準備室で室長を務める斉藤。Life Space UXの取り組みは、ソニーの既存の事業領域にとらわれない新しいビジネスへの挑戦として、TS事業準備室が担当しています。ソニー入社後、カメラ事業やゲーム事業等で多岐に渡る商品の企画を統括してきた斉藤は今、Life Space UX の体験の着想、製造からマーケティングまで、全てに渡ってマネジメントを手がけています。

ソニー TS事業準備室室長 斉藤博

ソニー TS事業準備室室長 斉藤博

「銀座・ソニービル5F にあるソニーイノベーションラウンジは、ソニーのチャレンジ精神や遊び心から生まれる今までにないカテゴリーやプロダクトを体感できるフロアです。Life Space UX は、新規事業の取り組みの一つとしてこのフロアに展示をしていて、ラウンジがオープンした2016年5月から、2~3ヵ月おきに展示を変えてきました。

今回空間づくりを一緒に行った建築家・佐野文彦さんとは、これまで新規商品への意見交換やワークショップを通じてLife Space UX とも関わりがあり、佐野さん自身が活動されている『空間における新しい価値を作り出す』という考えにも、とても共感しています。

家の中での暮らしの提案を考えていく際、伝統的なものと新しいものとの組み合わせで、これまでになかった体験や価値を作れないか? と考え、このプロジェクトが始まりました。

コンセプト「市中の山居」が決まるまで

展示空間は空間デザイナー、選書家、書道家に空間スタイリストなど、多分野のプロフェッショナルの仕事が詰まっています。

多くの力が集まるのはとても頼もしいのですが、その反面、それを束ねて同じ方向に向かっていくのはとても大変なこと。そんなときにそれぞれの方向性がブレないための支柱となるのが、コンセプトです。

「この展示の会期がスタートした10月頃は、デザインや芸術への関心が高く、様々なイベントが行われるシーズンです。そういった期間でも魅力的に感じていただくため、これまでとは違う切り口を探しました。ただ、Life Space UXの提案は、奇をてらうようなものではなく、心地良く自分が素に戻れるような空間を作ることで、この本質は外したくない。そこで、いかにそういった体験を提供できるかを考えるにあたり、自分にとって身近な空間である、日本の暮らしに注目しました。Life Space UXに通じるテーマですが、今までLife Space UXがアプローチをしたことのないテーマです。そこから、『日本の居住空間』をテーマに検討に入りました。

これまでのLife Space UX は、どちらかというと洋風の空間演出が多く、和をイメージした空間展示はもちろん初めてです。訪れた方に、新しいのにどこか懐かしく感じていただける空間を作りたいと、和空間の良さを知る元数寄屋大工の建築家・佐野文彦さんとチームを組むことにしました。」

元数寄屋大工の建築家 佐野文彦さん

元数寄屋大工の建築家 佐野文彦さん

「近年、古民家や古くなった家をリノベーションして住む、田舎に戻る、地方に移住する…と、過去や田舎を感じながらも、いまの生活に合うように活かしていくという大きな流れがあると感じています。佐野さんとは議論を重ねに重ね、時代を遡り、日本的な文化の踏襲をしながら、これからの暮らしのあり方を考えて、最終的に『市中の山居』というコンセプトにたどり着きました。

『市中の山居』=都会にいながらにして山里の風情を味わう、という、千利休の時代に生まれた考え方から、現代における暮らしや働き方のヒントになるエッセンスを導き出せるのでは、と考えています。」

展示場所はまさしく大都会、東京・銀座のメイン交差点、数寄屋橋の一角です。これ以上にこのコンセプトが似合う場所が他にあるでしょうか?

プロフェッショナルへのオーダー

展示を作り上げていくために、プロジェクトメンバーも並行して集めていきます。「新しい日本の居住空間」という船にともに乗り込むメンバーは、もちろん初めましての方同士も。異業種の才能同士を掛け合わせて、新たなアウトプットを作り上げるための、ソニーからのオーダーとは。

「まず前提として、Life Space UX の提案は、SFの世界のような、近未来の空間ではありません。また、外観的なデザインの良さだけを追求したり、家電を見えないように隠してしまうことが目的でもありません。

私たちが目指しているのは、居住空間のなかで、新しい体験を生み出すこと。そのため、今回一緒に空間を作りあげたクリエイターへは、『新しさを感じつつも、突飛すぎず、あくまで日常生活に寄り添う』……その絶妙なバランスを取りたいと伝えていました。

「空間づくりにあたっては、Life Space UX の担当者も含めて、みんなで議論を深めながら進めています。建築・造園・茶道・インテリア・選書・映像・音……と様々な領域のクリエイターのみなさんに参加いただき、専門性や感性を集めて、より良い体験の提案のためにと尽力いただきました。

時にはぶつかり合いながらも、それぞれがテーマに向き合い、みんなで一つの展示空間を作りあげられたという背景が、今回の空間の魅力に繋がっているのではないかと思います。」

随所ににじみ出るこだわりは、実際にこの空間で体験いただけるはず。一見見逃してしまいそうなアイテムにも、選んだ背景から配置に至るまで、それぞれのプロフェッショナルたちの意図があるのです。

新しい日本の居住空間に込めた、メッセージ

「Life Space UX は、居住空間に調和する佇まいと、テクノロジーによって、あなたらしく過ごせる理想的な空間づくりの実現を目指しています。現在4つのプロダクトを発売していますが、自分好みの空間を作り出すためのパートナーのような存在になってほしいと考えています。」

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過去から永く伝わる日本の文化を、『どこまでも、あなたらしい場所にしよう』をビジョンに掲げるLife space UXと掛け合わせることで、ひとつの「あなたらしい場所」の提案をしたいと考えています。

新しいのにどこか懐かしさがあり、落ち着くこの空間から、自分の生活に取り込みたくなるような体験や要素を見つけていただけると、とても嬉しいです。」

本展示の会期は、50年間ものあいだ東京・銀座の街を見守り続けたソニービルが、現在の形で営業する最終日の3月31日まで。

そこには、いい空間が広がっています。Life Space UX とクリエイターが考える新しい空間を、一度体験してみませんか。

そして実はこの記事には続きがあり、他のプロジェクトメンバーの話へとバトンタッチをしていきます。クリエイターの視点から見る、展示開催までの道のりはまた違った景色が広がっていました。次の更新を、是非楽しみにしていてくださいね。
 

(TEXT & EDIT BY AYUMI YAGI)


【建築家 佐野文彦とソニー Life Space UX が提案する「新しい日本の居住空間」】
 

展示期間:2016年10月26日〜2017年3月31日
営業時間:11:00〜19:00
定休日:なし
会場:東京・銀座 ソニービル5F ソニーイノベーションラウンジ(東京都中央区銀座5-3-1)
展示情報ページ:http://www.sony.co.jp/Products/products-for-life-space/news/report_20161024.html