シンプルだからこそ、カスタマイズの余地がある。茶室とLife Space UX の共通項

会期も残りわずかとなった展示「新しい日本の居住空間」は、たくさんの領域のプロフェッショナルの力が集まっており、空間の中の何気ない1シーンにも、ひとつひとつ意味を込めてつくられています。

ソニーでLife Space UX を統括する斉藤から見た展示

「新しいのに、懐かしい」を体感できる場所。ソニービルでの和空間展示は3月31日まで

空間全体のデザインを手がけた建築家・佐野文彦さんから見た展示

建築家 佐野文彦が仕掛けた「芯」を体感する空間。

今回、佐野さんからバトンを受け取るのは、コンセプト/ 体験デザインを担ったThe TEA-ROOM より、茶道家の松村宗亮さん。この空間を作り上げるまでの想いを、伺いました。

 

「市中の山居」というキーワードを、どう表現する?

今回の展示のテーマでもある「市中の山居」とは、都会の中で感じる侘び寂びのことを指します。このテーマを聞いた時に、松村さんはどう感じたのでしょうか。

松村さん「かつて茶の湯をしていた武士たちは戦いの世、もしくはこの世知辛い世界から一時でもエスケープすることを一つの目的として茶を愉しんでいたようです。

京都や大阪の堺といった大都市の中に、敢えて詫びた佇まいの小屋を建て、気のおけない仲間達と集まり、道具や趣味についてだったり、ちょっとした秘密を告白したりする完全にプライベートな場として成立していたのが、当時の茶室でした。そしてその空間は、端的に自分の美学をプレゼンするためにも、設えは極力シンプルに構成されています。

今回の『市中の山居』というテーマに対し、茶室が本来持っているデザイン要素、機能的要素は、これだけ時間が経た現代においても十分通用するものだと感じ、その感覚を空間に落とし込むように意識しました。」

茶室は、カスタマイズに向いている!?

白くて、明るくて。和室のイメージを覆す空間が広がる「新しい日本の居住空間」ですが、松村さんの本領が発揮されるのはやはり茶室。「市中の山居」というお題を、茶室で表現するにあたって気にかけたことを伺いました。

松村さん「日本有数の繁華街である銀座、その一等地に位置するソニービルのワンフロアに和の空間を設えるということは、まさに現代における「市中の山居」のイメージにぴったりだ! という確信からデザイン設計が始まりました。

茶室とは、構造的にはとてもシンプルですが、道具の置き方、床の設えの仕方を変えるだけでこれが同じ空間か、と感じるほどカスタマイズがしやすいのが特徴です。

Life Space UX の商品はデザイン的にとてもシンプルにもかかわらず、映像や音楽などで日常の空間を超カスタマイズした自分好みの空間に変化できます。この点が茶室、茶の湯の構造と相通じるところがあると感じていたので、展示の空間構成も茶の湯の流れに沿って作っています。

階段を上っての植木のエリア、本棚やテーブルを経てだんだんとリラックスして頂き、最後は靴を脱いで茶室に上がっていただくことによって、今まで茶室に入ったことがない方でも懐かしく感じるような、文化的な原体験を感じて頂けたら嬉しいですね。」

松村さんの、お気に入りの場所

持ち寄ったアイデアが、時にはぶつかり合いながら、化学反応を起こして出来上がったこの空間。松村さんのお気に入りの場所とは?

松村さん「奥の茶室は、ほぼ400年前に存在した茶室と同じ寸法で出来ています。天井の高さや床の収まり感など、先人たちの知恵と工夫を体感してもらい、畳の上で足を伸ばしてもらい、400年前の人たちにチョット想いを馳せながら、彼らと共に光と音、映像に包まれてリラックスしていただければと思います。

そして茶道具に触って、ぜひ茶人ポーズで写真を撮って頂きたい! ポーズがよくわからない場合は茶室に置いてある茶の湯の決めポーズカードがあるので参照していただければ。そのカードのキャラがなんとなしに誰かに似ているのでそれも気に入ってます。

この場所で開催された関連イベントで、幾度かお茶を振舞ってくださった松村さん。銀座のど真ん中に現れた茶室でお茶を嗜むなんて、なかなかオツな出来事だと思いませんか?

 

 

 

 

毎回お茶目な和服で登場してくださる松村さん。この日はなんと、ドクロが背中に!?

毎回お茶目な和服で登場してくださる松村さん。この日はなんと、ドクロが背中に!?

さて、今回はコンセプトと体験デザインを手がけた松村さんからの話をお届けしましたが、作り手たちの想いを届ける本シリーズはまだまだ続きます。次は空間のスタイリングを手がけたあのお方。

「新しい日本の居住空間」は、ソニービルが現在の姿で営業する最終日、3月31日まで。1〜4階で「It’s a Sony」展の第2期も開催していますので、ぜひ足を運んでみてくださいね。

(TEXT&EDIT BY AYUMI YAGI)

コンセプト/ 体験デザイン The TEA-ROOM

現代における「茶の湯」のあり方を探求し続けるアート集団。SHUHALLY庵主の松村宗亮、建築家の佐野文彦、陶芸家の金理有、和菓子作家の坂本紫穂が創立。職住が一体化されていく未来の住まいを茶の湯の精神を取り入れ、空間コンセプトと体験を設計。

The TEA-ROOM

松村 宗亮(まつむら・そうりょう) 裏千家茶道准教授。1975年横浜市生まれ。英国国立Wales大学大学院 経営学科卒(MBA)日本語プログラム 学生時代ヨーロッパを放浪中に日本人でありながら日本文化を知らないことに気づき、帰国後茶道を始める。「裏千家学園茶道専門学校」を卒業後、2009年 横浜関内にて茶道教室SHUHALLY を開始。茶の湯をもっと自由に!もっと愉しく! というコンセプトによる活動が共感を呼び、全国の百貨店やギャラリーまた海外(ベルギー、スペイン、アメリカ、フランス、ポーランド、スイス、香港、シンガポール、韓国等)や首相公邸から招かれ多数の茶会を開催。伝統文化によるチャリティイベントを主催するなど、日本文化の新たな伝統の開拓・発信に努め幅広く活動中。現代における「茶の湯」のあり方を探求し続けるアート集団『The TEA-ROOM』の創立メンバ。  過去出演メディア J-wave、婦人画報、NEWSZERO、TEDx 等多数。 監修のSHUHALLY茶室 裏千家十六代坐忘斎御家元 命名「文彩庵」は2010年度グッドデザイン賞受賞

松村 宗亮(まつむら・そうりょう)

裏千家茶道准教授。1975年横浜市生まれ。英国国立Wales大学大学院 経営学科卒(MBA)日本語プログラム 学生時代ヨーロッパを放浪中に日本人でありながら日本文化を知らないことに気づき、帰国後茶道を始める。「裏千家学園茶道専門学校」を卒業後、2009年 横浜関内にて茶道教室SHUHALLY を開始。茶の湯をもっと自由に!もっと愉しく! というコンセプトによる活動が共感を呼び、全国の百貨店やギャラリーまた海外(ベルギー、スペイン、アメリカ、フランス、ポーランド、スイス、香港、シンガポール、韓国等)や首相公邸から招かれ多数の茶会を開催。伝統文化によるチャリティイベントを主催するなど、日本文化の新たな伝統の開拓・発信に努め幅広く活動中。現代における「茶の湯」のあり方を探求し続けるアート集団『The TEA-ROOM』の創立メンバ。 

過去出演メディア J-wave、婦人画報、NEWSZERO、TEDx 等多数。

監修のSHUHALLY茶室 裏千家十六代坐忘斎御家元 命名「文彩庵」は2010年度グッドデザイン賞受賞


 【建築家 佐野文彦とソニー Life Space UX が提案する「新しい日本の居住空間」】
 
展示期間:2016年10月26日〜2017年3月31日
営業時間:11:00〜19:00
定休日:なし
会場:東京・銀座 ソニービル5F ソニーイノベーションラウンジ(東京都中央区銀座5-3-1)
展示情報ページ:http://www.sony.co.jp/Products/products-for-life-space/news/report_20161024.html